So-net無料ブログ作成

ヴェネツィアのリストランテーその1 [Ristorante VE]


ヴェネツィア独特の小ぶりのカルチョーフィ(アーティチョーク)、方言で「カストラウーラ」。陣内秀信さんの「ヴェネツィア-水上の迷宮都市」(講談社現代新書)で「塩水を吸って育つから、特有の風味がある」と紹介されています。以来、気になっていたのですがやっと出会えました。これは八百屋さんでの写真ですが、食べたのは池田夫妻のBLOG
http://rotonda.blog.ocn.ne.jp/rotonda/_venezia/index.html
でも紹介されているド・モーリ。

ド・モーリ
Do Mori
S.Polo 429 Venezia
Tel.: 042 - 22675

ソット・オーリオ(酢で茹でてオリーブ・オイルにつけたもの)で頂きました。「特有の風味」については濃いめの味付けで、もう一つ良く分からなかったのですが、タケノコのようなコリッとした食感が美味しかったです。

ハリー・ピッカーリングHarry Pickeringとジョゼッペ・チプリアーニGiuseppe Ciprianiの友情、そしてヘミングウェイ。伝説のハリーズバーをようやく訪れる事ができました。

ハリーズバー
Harry’s bar
calle San Marco 1323 Venezia
Tel.: 041 - 5285777  Fax: 041 - 5208822
http://www.cipriani.com/cipriani/Locs/ven.htm

ホテルから電話を入れると当日の席が意外にもあっさりOK。バーのカウンターを横目に2階のレストランへ。素晴らしいロケーションですが想像よりもこぢんまりした印象。早めの時間にもかかわらず店内は賑やかです。聞えてくる言葉はさすがに英語が圧倒的。

先ずは元祖ベッリーニBELLINIをお味見です。

可愛いロゴマークは付いているものの「ン???」小さめの「普通のコップ」高級感皆無!(ついでに右側の、こちらもロゴ付きですが居酒屋にも似合いそうなワイングラス、赤はまだしも白もこれ。ワインリストにあった€400超のバローロも?)。これが元祖イタロ・アメリカンスタイルなのか?軽いジャブにクラッ。でも一口、含んで本当のショックを受けました。まさにアッパーカウンター。今まで飲んでいたカクテル・ベッリーニはベッリーニではありません。ちょっとだけ似た別の飲み物でした。

ちなみに信ずるにたる二代目、アッリーゴ・チプリアーニArrigo Ciprianiのオリジナルレシピは以下のとおり。
「白桃をもて準備せしめる。断じて黄桃であってはならず、小粒なおもて果皮薔薇色なら更に良し。桃は皮もろとも中国式漏斗(漉し器)もしくはポテト・マッシャーをして圧搾せらるなり。あるいはまた遠心圧搾機を用いる事は許されしもミキサーはまかりならぬ。なぜならば搾汁をして大気を過剰に摂取せしむる故なり。
ワインはコネリアーノのプロセッコを用いるべし。それがかなわぬ時は同量の良き発泡性ワインをもってこれに替えることも出来ようが、願うべくはシャンプノワーズ(シャンパーニュ地方産)のそれである事を。
3/4量のプロセッコに合わせることの1/4量の桃のジュース」
Qui sotto la ricetta originale di Arrigo Cipriani.
Si prepara con pesche bianche, mai gialle, meglio se piccole e con la buccia rosata. La pesca va schiacciata con tutta la buccia in un imbuto cinese o con uno schiacciapatate. Si può anche usare una centrifuga, mai un mixer perché altrimenti il succo si riempe d’aria.
Il vino usato all’ Harry’s Bar è il prosecco di Conegliano, ma si può fare altrettanto bene con un buon spumante magari champenoise.
Tre quarti di prosecco e un quarto di succo di pesca.

さすが本家だけあって古式(といってもジョヴァンニ・ベッリーニGiovanni Belliniの大展覧会があった1948以来の;ってことは何も文語調に翻訳する事もなかったのですが)製法に忠実とみました。新鮮な桃の香りと甘さが、繊細なプロセッコ特有の微かなアーモンドの香味と溶け合って豊かなハーモニーを奏でます。「夢のように美味しい」という表現は100回くらい使ってしまいましたが、この一杯にとっておきたかったです。

ちなみにベッリーニのバリエーションとして公認されているものには、
イル・ティツィアーノ:ベッリーニをウーヴァ・フラーゴラ(アメリカングレープ)のジュースに置き換えたもの。
イル・ミモーサ:マンダリーノ(マンダリンオレンジ)とオレンジ(アランチャ)のジュースに置き換えたもの。
イル・ロッシーニ:イチゴジュースに置き換えたもの。
があります。
Le varianti del Bellini sono:
Il Tiziano: è un Bellini fatto con il succo dell’uva fragola.
Il Mimosa: gli ingredienti sono il mandarino e l’arancia.
Il Rossini: è fatto con il succo della fragola.

そしてお待ちかね元祖カルパッチョはこんな感じ。

セコンドかアンティパストどちらでもオーダーできるのですが、こちらはハーフサイズのアンティパスト。隣の皿は添えられるルーコラのサラダ。
お味は…夢のように美味しかったとまた言ってしまいましょう。完璧です!
確かに松阪牛のステーキも信州牛の刺し身も美味しい。フィレンツェの例えばオステリア・ジョヴァンニのキアニーナのビステッカ・アッラ・フィオレンティーナも最高に美味しいと思います。でもこのカルパッチョはまた別の発見。世界のレストランがこぞって追随した理由が納得できました。

カルパッチョを簡単に言ってしまうと、薄切りの生牛肉にマヨネーズベースのソースがかけられたものと言う事になってしまいますが、それではもちろん簡単過ぎ。

元祖カルパッチョ=Carpaccio in salsa rosa=の正式なレシピです。
【材料】
先ず牛肉はただの牛ではなくトスカーナ特産の貴重なキアニーナ(キアーナ牛)でなければなりません。
部位はロンバルディーア方式のcontrofiletto、トスカーナ式ではlombata=ロインロースつまり背肉サーロイン。この塊肉650gから脂身を全て完全に取り除き冷蔵庫で冷やします。

【調理法】
よく切れるナイフで「向こうが透けて見えるるくらい」に薄くそぎ、皿に並べ、カルパッチョソース※をかけて出来上がり。

※次いでカルパッチョソース=salsa rosa=のレシピ:

【材料】
マヨネーズ※※ 185cc
ウスターソース 大さじ1
レモン汁 大さじ1
ミルク 大さじ2
塩・コショウ 適量

【調理法】
マヨネーズをボウルに入れてウスターソースとレモン汁を加えます。ミルクを少しずつ入れながら混ぜて、味を見ながら最後にレモン汁と塩で味を調えます。
Mettete la maionese in una ciotola e mescolatela alla salsa worcestershire e col succo di limone.
Aggiungete il latte in modo da ottenere una salsa abbastanza consistente e assaggiate per correggere, a vostro gusto, il condimento con un po’ di sale o limone.

※※最後にマヨネーズ=Maionese=のレシピ:

【材料】
卵黄 2コ(室温にもどしておく)
エクストラバージンオリーブオイル 1cup
レモン汁 1/2コ分
塩 適量

【調理法】
卵黄を混ぜ合わせ、塩をひとつまみ加えます。混ぜ合わせながらオリーブオイルを滴下し固くなってきたらレモン汁を加え、滑らになったら出来上がり。
Frullate o sbattete con il frullino elettrico i 2 tuorli con un pizzico di sale. Dopo qualche secondo aggiungete, tenendo sempre il frullatore acceso, l'olio che verserete a filo fino ad ottenere una salsa densa e per ultimo condite col limone.

カルパッチョソース〜マヨネーズのイタリア語のレシピは、mangiarebene
http://www.mangiarebene.com/accademia/carne/bovina/carpaccio_rosa.html
を引用させて頂きました。

ところでこの元祖カルパッチョ、1950年にヴェネツィアで開催された初期ヴェネツィア・ルネサンスの画家ヴィットーレ・カルパッチョの展覧会を記念してジョゼッペ・チプリアーニが考案したもの。
カクテル・ベッリーニがルネサンス、ヴェネツィア派の画家ジョヴァンニ・ベッリーニの描くマドンナの頬の、美しい淡いばら色を再現したものである(…洋一の推論)のと同様に、
カルパッチョの絵画に特徴的な赤=Rosso di Carpaccioを生肉の赤で表現したものです。だから最近、イタリアでも散見する白身魚の「カルパッチョ」には少々違和感が残ります。

これも名物カレーライス。

ライスの美味しさがとても印象的。カレーそのものもイタリアでは最良。

こちらはレバーステーキ、ポレンタ添え

写真では判りにくいかも知れませんが、かなりレアーで、臭みもなく柔らかく大変美味しかったけれど、これでもう少し量が控えめだったら…。アメリカン・スタンダードで仕方ないですが。ポレンタは標準的。

ワインはいつもの量り売りワイン屋さんでおなじみのモレッリーノ・ディ・スカンサーノ。しかも同じ2002年。

こちらの価格は量り売りのざっと15倍、といっても€40ちょっとだからこのレストランでは極めてリーズナブル(というかこの時点で日常的な金銭感覚は完全にマヒしています)。もちろん美味しく飲めましたが結果として量り売り屋さんのワインの実力を再確認できました。

というわけでこのお店、どう評価すべきかちょっと微妙です。
躊躇する理由は、とにかく高いこと、サービスも含めて、その金額に見合った満足感が得られるかという点につきます。細かい事は言わず、この高さも気にならないという人にとっては、本物のベッリーニとカルパッチョを心ゆくまで楽しめる、肩のこらないアットホームな雰囲気の、世界で唯一無二のレストラン。その境地に達するためには私達の場合は修業と財力が少々不足していますが。


nice!(8)  コメント(15)  トラックバック(1) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 8

コメント 15

yk2

ほえ~、元祖ベッリーニはこんな脚のないグラスで供されるんですね。
なんか見た目には味も素っ気も気取りも無い感じですが、味はアッパーカウンターですか。どんななんだろ。文語調のレシピを読むとさすがルネッサンスのお国柄、1498年頃の物かと勘違いできて楽しいかも知れません(笑)。

それにしても、噂に違わずHarry’s barはお値段がいいですねぇ・・・。
by yk2 (2006-04-27 22:15) 

cuvee-juliez

う~ん、ナイス1個じゃ足りませんねぇ。
ボルドー第3段目に行けなくなりそうです。
夢のように美味しいんですね。
現実が厳しくても・・・。(笑)
今夏のテーマはベッリーニかも・・。
by cuvee-juliez (2006-04-27 22:43) 

こんばんは^^

桃に目のない私なので、ハリーズバーのベッリーニは、
どんな高級ワインにも劣らないくらい魅力的です(笑)
う~ん、ちょっと色気のないグラスだけど、
量がいっぱい入っていて、それも可かな・・・(むしろ嬉しいかも)
plotさんが、お高いとおっしゃっているので、
今の私にはこちらは高嶺の花かもしれません・・・
が、もし行く機会があった時の為に、
ベッリーニとカルパッチョと、カレーライスは
忘れずに心にメモしておくことにします(笑)
by (2006-04-27 23:36) 

鈴木浩司

イタリア生活・・うらやましい限りです。。
昔、ジャコモカサノバ復活祭とやらがNHKで放送されて以来、
仮面のとりこです(^^)
by 鈴木浩司 (2006-04-28 09:12) 

ベッリーニとカルパッチョまでは”おぉー”という感じだったのですが、
カレーライスに”おぉっ!?”です。

イタリアのカレーライス、是非一度頂いてみたいです。

ベリーニにも相当惹かれますね。
ミキサーNG 素晴らしい!!
by (2006-04-28 10:35) 

plot

皆さんコメント&nice!ありがとうございました。

yk2さん、覚悟はしていても思わずのけぞる請求書ってやつです。
気は良さそうだけれど、いまいちプロフェッショナル的洗練度にかけるおっさん系カメリエーリ氏はじめ、ほのぼのしたお店の雰囲気との落差がキモでした。最初っから「いかにも高いぞ」ムードで押してくる某エノテーカ・ピンキオーリなどと、どちらが精神衛生上、よろしいのかこれも微妙なところです。

clos-du-meixさん、ボルドー第3段目、是非お願いします!楽しみにしております。友人がデジョンの近所(?)の古城で奮闘しておりますので(近況は以下のblogで)
ttp://blog.so-net.ne.jp/bussy- la-pesle-otsu/
手伝いに行く時にフランスワインにもチャレンジしたいと思っております。

Lahiriさん、1階のバーカウンターでベッリーニだけ1杯ひっかけるという手もオツかも知れません。カルパッチョもいきたくなっちゃうかも知れませんし、ついでにカレーライスも…って始まっちゃうとお札に羽が生えて飛んでっちゃいますが。

鈴木浩司さん、こちらの話題にもコメント頂いて嬉しいです。イタリアは結構はっきりした階級社会で、サッカーみたいなシモジモのスポーツを話題にするとシラーとひかれる場面もあります。その反対にうちとける場合の方がもちろん多いのですが。

tiddyさん、イタリアのカレーライスは…ウ〜ん…全体の水準という問題が…もごもご。ってわけであんまり期待しすぎないでくださいねというか優しい目でみてあげてください。やっぱりノーミキサー=ベッリーニとカルパッチョがイチ押しかな。
by plot (2006-04-29 00:03) 

いつも調査能力に驚きながら、拝見しています。うちのこけし君も酒飲みなのでベリーニ飲みには是非連れて行きたいと思います。ただし、のけぞる請求書の覚悟もすこしして。。
by (2006-04-30 14:40) 

ブログの域を超えていますね!
これからも楽しみにしておりますので、いろいろと教えてくださいね。
by (2006-05-01 02:24) 

plot

Ikesanさん、Minovskyさん、コメントとnice!ありがとうございました。
アムステルダムもウィーンも、イタリアから入ると「大人の国に来た」という印象です。
お二人のblog、豊かな好奇心と行動力に刺激を受けています。
知らない事ばかりなので、これからも期待しています。よろしくお願いします。
by plot (2006-05-02 03:32) 

mikachan

ハリーズバーは美味しいと聞いていましたが、何となく高級っぽくてつい他の店に入っていました。いつかは入ってみたいと思ってます。
ベネツィアのカルチョーフィは独特の形をしていたんですね、気が付きませんでした。よく、切ったものをレモン水に漬けて売ってますがあれもそうだったんでしょうか?
by mikachan (2006-05-04 16:03) 

plot

ミカチさん、ハリーズバーには僕たちもまったく同じ印象をもっていました。
経験した後もその印象は変わりません。
「ベッリーニとカルパッチョは確かに最高に美味しかったけど、やっぱり高かった」です。
でもお店の歴史やヘミングウェイの想い出にロマンを感じて、アメリカ式に大ざっぱな点も、お値段も、おおらかに認めてあげる広い心と太っ腹で訪れれば素敵なお店だと思います。
ヴェネツィアのカルチョーフィ「「塩水を吸って育つから、特有の風味」という肝心のポイントは、今回、お店の調理済みのものでは良く分かりませんでした。次回は八百屋さんで買って帰らないと。
by plot (2006-05-05 22:03) 

suisui

へんなところに反応して申し訳ないのですが、
>フィレンツェの例えばオステリア・ジョヴァンニ
このオステリア・ジョヴァンニって↓のことでしょうか?
http://www.osteriadigiovanni.com/
実は、Buon Ricordo のお店ということで、機会があれば是非、行ってみたいのですが、あまり情報が見当たらず、予算的にはいくら位を考えておけばよいのかさっぱりわからず、オステリアというからには、そんなに馬鹿高いことはないだろうと思ったり、いやいや、エノテカ・ピンキオーリなんてエノテカと名乗ってはいるけど高級店だしと思ってみたり。
実際に行かれたことがあれば、予算的なこと、お店の雰囲気など、昼間の営業をやっているかなど、教えていただければ嬉しいのですが...。いきなりやって来て教えてクンで申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いします。
by suisui (2006-05-14 12:26) 

plot

suisuiさん、
ジョヴァンニ、大好きなお店です。今度blogでもご紹介します。
お値段も高いと感じた事はありません。
ここのビステッカが最高という地元の人も多いです。僕もそう思います。
一昨日もビステッカを頂きましたが、やはりとても美味しかったです。
外猫のために骨も貰って帰りました。
お土産にLatiniのトスカーナ・ロッソまで頂きました。
内装は明るく上品。
ジョヴァンニさんの人柄を反映してカメリエーリも皆、親切で良く気が利きます。
昼も営業しています。
ロステリア・ディ・ジョヴァンニ 
 L'Osteria di Giovanni (別名Osteria N°1)
Via del Moro 22
tel 055.284897
by plot (2006-05-14 17:00) 

suisui

早速の情報提供ありがとうございます。
実は、もうすぐフィレンツェで挙式予定で、その後、フィレンツェ在住の友人とささやかな食事会をする店を探していまして、オステリア・ジョヴァンニも候補のひとつにしていたのです。が、なにしろ日本語での情報がほとんどなかったので、とても助かりました。ありがとうございました。
by suisui (2006-05-16 01:32) 

plot

suisuiさん、おめでとうございます!
前後してしまいましたが、
今blogトップに置いている「ロステリア・ディ・ジョヴァンニ」 の記事も目をとうして頂けましたか?
そういう事情でしたら大人数にも対応できるしぴったりのお店だと思います。
予約する時に趣旨を伝えておけばスペシャルな対応もして頂けるかも。
6番目の写真、ジョヴァンニさんのとなりの赤目さんが掲げているお皿に注目!
by plot (2006-05-16 02:15) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1