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サリエラ発見! [アトリエから]

イタリアの夕刊紙CORRIERE DELLA SERAの1月21日のwebページにウィーン発のこんな記事が載りました。

L'opera era stata rubata nel maggio 2003 dal Kunsthistorisches Museum
Ritrovato un pezzo della saliera di Cellini
La polizia di Vienna ha recuperato un tridente, la speranza è che l'opera non sia stata danneggiata. Ora c'è anche un identikit
VIENNA - È stato ritrovato un pezzo della preziosa saliera di Benvenuto Cellini, rubata nel maggio 2003 dal Kunsthistorisches Museum di Vienna. Lo ha riferito la polizia austriaca, riferendo che è stato ritrovato un tridente che decorava la scultura. Il pezzo era mobile e pertanto l'opera d'arte potrebbe non essere stata danneggiata. Gli inquirenti sono riusciti a costruire l'identikit di un uomo che potrebbe «verosimilmente dire dove si trova la scultura». Il furto dal prestigioso museo austriaco aveva creato grande attenzione internazionale. La piccola scultura in oro di Cellini è alta 26 centimetri e riproduce due figure, una Venere per il pepe e un Nettuno per il sale.
20 gennaio 2006

 記事を要約すると
「2003年5月にウィーン美術史美術館から盗まれた16世紀イタリアの彫刻家ベンヴェヌート・チェリーニの『サリエラ』=saliera d'oro di Francesco I(フランチェスコ1世の黄金の塩入れ=が、2年8か月ぶりに発見された。保存状態は良好。警察は身代金連絡に使われた携帯電話を突き止め、電話販売店の監視カメラの男の映像を公開。自首した男の供述に基づき北オーストリアの森の地中からサリエラの入った箱を掘り出した…」というもの。
 盗まれた当時の記事
http://www.corriere.it/Primo_Piano/Cronache/2003/05_Maggio/11/cellini.shtml
によると推定価値5000万ユーロ(ほぼ70億円)で「彫刻のモナリザ」盗難事件として話題になりました。

 2003年3月31日、僕は初めて訪れたウィーン美術史美術館の16世紀イタリア絵画の部屋で、偶然、このサリエラに出会いました。なぜ「偶然」なのかというと、そこはサリエラが本来あるべき部屋ではなかったからです。階下の彫刻と宝飾品のコレクションの部屋に展示してある筈でした。しかしそちらはあいにく修復工事中。今回は諦めていたのです。
 ところが…
 ラフェエッロやフラ・バルトロメオらに囲まれた部屋の中央、大きな台の上のガラスケースの中で、サリエラは黄金色に輝いていました。美術館の粋なサービスだったのでしょう。期待していなかっただけに感激でした。
 両手で一抱えほど。写真で想像していたよりも小振りで繊細。塩入れとしたらもちろん巨大だけど王様の居室に置かれると可愛らしく見えたでしょう。
 部屋には監視員の姿はありません。急ごしらえの台にも水槽の様なガラスケースにも盗難防止の電子装置は取り付けられていないようです。ガラスに額がふれても何の変化も起こりませんでしたから。
 それから一ヶ月と少し後、5月11日の夜、忽然と姿を消すのです。

 ベンヴェヌート・チェリーニにはいろいろ思い入れがあります。
 96年には「ペルセオ、空を飛ぶ」事件もありました。
 「ペルセオ」というのはペルセウスのことで、ウッフィツィ美術館には、メイコの「イタリア旅のおしゃれノート」でも紹介しているピエロ・ディ・コジモの「アンドロメダを救うペルセオ」という可愛らしい小品もあります。羽の生えた靴を履き、空を飛んでアンドロメダを救う場面です。
 しかしその年、空を飛んだのはチェリーニ作のブロンズ彫刻のペルセオです。この彫刻ではペルセオはメドゥーサの首を高々と掲げています。顔を背けているのは見つめられると石にされてしまうから。

 チェリーニはとても面白い「自伝」も書いています。このペルセオはよほどの自信作らしく、自伝には苦心した鋳造の様子や、弟子の手違いからシニョリーア広場のランツィのロッジァの、つまり今も置かれているその場所に、固定されてしまったいきさつ等も書かれています。
 とても寒かったその年の暮れ、400年以上もそこに固定され動かない筈のペルセオが、その日、本当に宙を舞うというので朝から多くの見物人がペルセオをとり囲みました。要は修復のため〈特製した奇妙な形のクレーンで吊り上げ、ウッフィツィ美術館の狭い入り口に微妙な角度で差し入れる〉というだけのことだったのですが。
 主役はもちろんクレーンを操作する技師。マエストロと呼ばれるに相応しい面構え。芝居がかった彼の一挙手一投足に満場の目が惹きつけられます。盤石のはずのクレーンの設計に思わぬ計算違い、これは無理かと皆がため息をついた時、超絶的なテクニックが繰り出されます。斜めにひねりも加えて数センチの間隙を生み出し、最後は一気に狭い入り口を潜り抜け美術館の構内に吸い込まれました。予定の時刻は大幅に越えていましたが寒風の中の待ちぼうけに充分見合う、素晴らしいスペクタクルでした。

 話を2003年の春に戻すと、その年、僕はウィーンの個人の邸宅に壁画の注文を受けていました。そこでこの「サリエラ」を壁画の中に描き入れたのです。お嬢さんのためにウサギが盗み出したというストーリーにして。

その部分です。

ウィーンの美術史美術館のwebサイトのトップページhttp://www.khm.at/には大きく
"Saliera" wieder im Kunsthistorischen Museum
"Saliera" is back home
の赤文字と発見されたサリエラを確認している様子(冒頭の写真)が掲載されています。
すごく嬉しそうです。


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コメント 3

匁

福井洋一さん
こんにちは
彫刻家ベンヴェヌート・チェリーニの「サリエラ」 はモナリザの彫刻版なのですか 知りませんでした。勉強になります。多分その時日本でも報道されたんでしょうが「サリエラ」そのものを知らなかったので!!今度は捕まえるぞ!!
壁画には4人の足が描かれていますが、これはウサギの仲間なのか
家族の人なのか?皆が見ている前で巧妙に盗られたのかか推測させる
面白い壁画ですね?!
また、楽しい話を待っています。
by (2006-01-25 08:55) 

匁

福井洋一さん
追伸です。
本日1/29ですが1/23の毎日新聞夕刊8ページ
に「サリエラ」発見のニュースが載っているのを見つけました。
お知らせします。
by (2006-01-29 06:52) 

plot

tigerkitaさん、情報ありがとうございます。
日本では共同通信が1月22日朝、配信していたようですね。
http://news.www.infoseek.co.j p/topics/world/italy.html?d=22
kyodo2006012201000039&cat= 38

ざっと検索したところ日本語webサイトではasahi.comが詳しく伝えています。
http://www.asahi.com/internat ional/update/0122/004.html

僕の「サリエラ発見!」で抜け落ちていた情報をasahi.comの記事から引用しておきます。

2006年01月22日19時18分
「…警察は20日、犯人側から昨年10月に保険会社に1000万ユーロを要求する手紙が送りつけられ、同月末に取り外しが可能なサリエラの矛の部分だけがウィーン中心部のモーツァルト像近くで発見されていたと発表。さらに警察との接触に使われたとされる携帯電話を買った男について、監視カメラの写真を公表していた。男は知人から「写真に似ている」と指摘され、すぐに観念したという。警察などによると、男は警報設備関係の仕事をしていた。事件の数週間前に同美術館で初めてサリエラを見物した際、警備システムの欠陥を見つけ、犯行に至ったが、美術品としての価値は知らなかったという」

同、2006年01月23日18時27分の続報で
「…2003年5月、犯人グループはウィーン美術史美術館の窓ガラスを割って侵入し、ガラスケースに展示されていた『サリエラ』を盗んだ」

「事件の数週間前に初めてサリエラを見物した際、警備システムの欠陥を見つけ」って、僕のこと言われてるようでどきっとしました。
by plot (2006-01-29 13:49) 

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